今年〈2021〉の5,6月に東京ドームシティで開催されていた『大ゴジラ特撮王国』で撮ってきた写真をアルバム代わりに控えておこうという趣旨で、先週の昭和編に続き、今回は
平成編 を回想しつつ控えてまいります。
平成第一弾は『ゴジラ対ビオランテ』(1989年東宝)です。
これは雛型でしょうか?彩色立体物です。
愛娘の死を受け入れられず、そのDNAをバラに組み込んだ科学者が生んだ悲劇の怪物。チタノザウルス以来の新怪獣としてゴジラに対峙するわけですが、水爆が生んだゴジラに対し、遺伝子操作が生んだ怪物ということで、新時代に相応しいキャラクターであったと言えましょう。ことに私は上の写真に映っているマンモスフラワーのような形態が好きで、月光に照らされて芦ノ湖にそびえ立つ姿は驚異的で美しく、新しい怪獣を見た、という感動に震えました。
お次は『ゴジラ対キングギドラ』(1991年東宝)に登場した、ゴジラザウルス。
すみませんねえ、全体像の写真でなくて。全体像は本編で見て下さいという事で、私はどうしてもその作り込みに興味があります手前、こういう写真になってしまうのです。言い訳はさておきまして、よくできてますよねえ、野生動物の歯の匂いまで漂ってきそうです。というのも、この怪獣は放射能を浴びる前の生き残り恐竜という設定ですから、コモドオオトカゲやなんかが参考にされているのでしょう。皮膚や、爪なんかも素晴らしい出来です。
画面に映らないかも知れないところまで、きちんと作られてこそリアルな映像ができるのだと思います。なぜなら、人間は意識していないところまで見えているからです。
1994年『ゴジラ対スペースゴジラ』に登場するスペースゴジラの雛型です。
この辺は悩ましいですね。設定は壮大なんですが、形態がゴジラに似ていて残念です。しかし、この映画に登場するモゲラが良かった。前作のメカゴジラの改良版という設定もよし、格納庫の巨大感は格別でした。
そんなモゲラの基礎モデルになったメカゴジラがこれ。
昭和少年の大好きだったリベットが無くなりまして、三次曲面を用いた丸みのある金属成形に進化しています。(ここで、ブラックホール惑星人は昭和並みの技術か?なんて野暮なツッコミは無しでおねがい、みんな分かっていて好きなんですから)
映画のオープニング、伊福部節に川北演出による起動の瞬間は身震いするほどシビレましたっけ。
製作年は前後しますが、1992年の『ゴジラ対モスラ』に登場するバトラの飛び人形。
古代よりモスラの敵のような存在と言われていて悪そうな姿をしていますが、ゴジラを前にモスラと共闘します。
で、このあたりから私の目は、怪獣デザインのエッジが気になり始めるのです。
こちらは1995年『ゴジラ対デストロイア』に登場する平成版ゴジラの息子“ジュニア”の人形です。
巨大なデストロイアにメッタメタにやられて、劇中瀕死に陥るかわいそうな若ゴジラです。若さの中にも怖さを湛えた表情がいい演技をするのです。そして最後に!これ以上は映画をご覧ください。
この平成版ゴジラの息子が生まれたての時の名称は「ベビー」、登場作は『ゴジラ対メカゴジラ』(1993年東宝)で、劇中に卵から孵ります。その原寸スーツの内臓ギミックがこちら。
FRP成型で操作は文楽方式でしょうか?こういうものは保存性が高くて有難いですね。やはりCGという映像表現もいいですが、こういう残る造形物は資料としてはもとより、そして時代が経てば経つほど美術品的な価値も出てきて鑑賞に尊いものです。
そしてバトラの時から気になりだした、怪獣デザインのエッジなんですが、こういうことです。
ミレニアムでしたか?ちょっと忘れましたけど、新世代のゴジラのスケッチです。トゲトゲのペンタッチですよね。もちろん時代の流れによる様式の変化ですから否定するものではありませんし、ここから始まった若い人たちは、素直にカッコイイ!と思うでしょう。それでいい。
背ビレもエッジ立ってますねえ、もちろん荒々しさの表現なのでしょうが直線的なのが気になります。
顔もミレニアムタッチ、シャープですね。
素晴らしい造形物なんだけれども、どこもかしこも尖がってる。
爪は尖がっていていいです。
あれこれ不愉快なことを申しましたけれど、これは好き嫌いのお話、せっかく世界に誇る日本怪獣がアメリカンデザインに寄っている感じがして寂しいだけなのです。
ですが、2001年の『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』のゴジラは違います。どうです、この隆々たるヘラ使い!
不動明王の火炎のごとくうねるり狂うような背ビレ造型、これです、シビれます。背ビレでシビレです。
そしてこのスーツは、また段違いに大きくて、迫力満点。
私が入ったらおそらくピクリとも動かないでしょうし、そのまま死んでも倒れないでしょう。それほど凄い厚みと重みと存在感がありました。実物を拝めて幸せでした。
このあと、2002年公開『ゴジラ対メカゴジラ』に登場するゴジラは、一見トゲトゲかな?と思いきや、近くで見たら日本的な顔立ちをしていまして驚きました。
映画では分かりづらかったですが、鼻っつらのしわとか口角のひげ状ウロコなど、木彫の猛獣のような雰囲気を醸しています。
お腹も細かく彫られていて生物と美術品の間ぐらいの美しさが表現されています。
ここに機龍の展示が無かったのが残念ですね、機龍こそ近代日本デザインの傑作だと思っておりますもんで。ことに今年見たアメリカ製のメカゴジラと比べたら、くっきりと線引きもされていまして、実に腑に落ちます。
最後は文字通りファイナルで『ゴジラ FINAL WARS』(2004年東宝)のゴジラです。
アクションに適応したスリムな造形です。映画のほうはお祭りですから、多くは語りませんけど、ニューヨークを襲撃したラドンのシーンは何度見ても痛快ですし、スタイリッシュなX星人も良かったです。しかし、人間みたいな格闘をする怪獣の姿はあまり好きではないですね。
二回にわたって控えてまいりました特撮展の見聞録、これにておしまい。
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2021/11/20(土) 10:59:19 |
見聞・出歩き
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今年〈2021〉の6月、東京ドームシティで開催されていた『大ゴジラ特撮王国』の見聞録を回想の形で数点控えておきたいと思います。
今回はまず
昭和編 です。
お出迎えは初代ゴジラ。
もちろん当時(1954)ものではありませんが、そっくりに作られておりまして、2メートル超えのスーツサイズですから迫力は満点。長い尻尾のイメージからか、昔復元の恐竜的なルックスではありますが、顔立ちはライオンのような獣顔ですね。まさに正体の特定できない怪しき獣、怪獣の誕生であります。
映画『ゴジラ』(1954年東宝)に登場する、短波実況班の気持ちになりまして、グっと下から見上げてみたら…
ファンがモスゴジとよぶ『モスラ対ゴジラ』(1964年東宝)に似てませんか?そうですよね?つまり基礎デザインがしっかりしているので、映画作品による顔の違いはいろいろあれど、見る角度などによってちゃんと共通点があるんだなあ?と知らされました。
そんなゴジラを東京湾に葬り去ったのが、このオキシジェンデストロイヤー。
驚異の水中酸素破壊剤です。若き科学者芹沢大助が偶然に発見した恐ろしい薬剤です。もし芹沢博士があと10年早く生まれていたら、今ごろアメリカ国民は天皇陛下を崇めていたかも知れません。…おっとダメダメ、そういう事に使われないように、芹沢博士は若い命を自ら終わらせたのです。ところがのちに『Godzilla: King of the Monsters』(2019年ワーナー)で、米軍が実用化してまして、あいつら戦争のためならロクなことしねえな、と思いつつ、芹沢博士(若き平田昭彦)の丹精な顔が瞼に浮かんでちょっと嬉しかったりもしました。
『ゴジラ』の当たりに気をよくした続編『ゴジラの逆襲』(1955年東宝)の台本です。
貴重な実物です。表紙のレタリングがいいじゃありませんか。バランスの整った字ではないのです。味があるのです。今ではパソコンソフトでどなたでもバランスの良いレタリングができますが、個性的ではないですよね。誰が食べてもおいしいファミレスのお料理と、クセのある街中華の違いとでも申しましょうか?私はクセのある方が好きです。
こちらはゴジラの敵役として登場した暴龍アンギラスのスナップ写真。
なんでこうホッとするデザインなのでしょうか、実にシンプルであります。日本画から抜け出したような毛筆の味、鼻先から目じりに流れる曲線、王冠のごとく並んだ角と剣山のような甲羅とはイメージを一にしているから雑味がないですよね。直立系ゴツゴツ型のゴジラと四つ足系トゲトゲの怪獣対決は、その姿の対比もあって絵的に面白いんだと思います。
つぎは『モスラ対ゴジラ』(1964年東宝)の縮尺設定図です。
こういう資料も実物展示会ならでは、映画製作にかかる確かな設定と製作陣営のご苦労が垣間見えて楽しいですし、これを知ったうえでまた映画を鑑賞するのも一興というものです。
設定寸法の横に、製作物の実寸が書かれています。それにしても成虫モスラって大きいんだなあ。
『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964年東宝)で、華々しくデビューしたキングギドラのデザインスケッチです。
宇宙怪獣という設定にしてはずいぶんと龍っぽいなあ?と思いましたが、これが当たりましたね。三本首に翼、これぐらい強力であるから、地球怪獣を数頭相手にできるんです。考えてもごらんなさいな、ゴジラが三頭、破壊光線を吐きながらラドンの早さで空を飛んでいたら、日本列島は一日で壊滅です。
ステージはここから乗り物になります。
『南海の大決闘』(1966年東宝)にでてきた悪の組織“赤イ竹”の戦闘機です。
これは木を削りだしたソリッドモデルでしょうか?近くで見ると手作りの温かみがありました。
赤イ竹のマーク。
映画ではゴジラに全滅させられてしまいます。
殺獣光線メーサー車。
東宝自衛隊の花形戦闘車両です。幾多の作品に登場しましたが、初登場は『サンダ対ガイラ』(1966年東宝)で、林の大木をスパスパとカットしながら逃げるガイラを追い詰める場面は特撮ファンの語り草です。
こちらは古い東海道線。
初代ゴジラが品川で口にくわえた有名な電車です。これは木材と紙の工作物っぽいですね。
こういうものが近くで見られて幸せ、製作意欲がわいてきます。それにしても小豆色の車体が懐かしいです。
昭和編最後はマット画です。『メカゴジラの逆襲』(1975年東宝)を最後に姿を消し、9年ぶりに公開された待望の『ゴジラ』(1984年東宝)のエンディングに流れる三原山です。
絵だったんですね、私はミニチュアとプールの合成かと思ってました。絵の下半分の黒いところに本物の水が合成されると、気のせいか噴煙まで動いていたかのような記憶の罠に陥ります。人間の錯覚錯視と駆け引きする技術、これぞ特撮の面白さともいえましょう。
次回は平成編です。
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2021/11/13(土) 11:16:45 |
見聞・出歩き
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さよなら、わんぱくランド デパートの屋上遊園地も、昭和の遺産になってしまったの?
ここ埼玉県川越市の“まるひろ百貨店”の屋上遊園地“わんぱくランド”も、いよいよこの夏休み(~8/31)をもって閉園になるということで、たくさんのご家族で賑わっております。
売店で、焼きそばやソフトクリームを売っていたアルバイトの高校生も今年還暦、それうちの女房。娘が生まれた頃は、近くに住んでいたもので、毎週のように連れてきて遊びましたっけ。そんな娘も今年三十。それでも景色はほとんど変わっておりません。そこに来れば、楽しかった思い出がよみがえります。
今日は天気がいいので飛行機も飛んでます。子供を乗せてスマホを向けるお父さん、みんないい顔をしています。
周りにここより高い建物がないから、縁ぎりぎりまで引かれたモノレールは中々スリリングですが、これともお別れ。
室内ゲームコーナーもあります。僕は記念にウルトラマンのガチャガチャを一回やりました。
小さい彩色フィギュアと早合点してやってみたら、なんと今どき空気でふくらますビニール人形ですって、ちょっとガッカリ。なになに?対象年齢3歳以上、うん、ここは軽くクリアーしている。だからさっそく膨らまして遊んじゃう。
いいんじゃない?デパートの屋上遊園地とヒーローはよく似合うのです。なぜって?昭和の子どもならわかります。デパートの屋上遊園地では、よくヒーローショーが開催されていましたから。
売り場につながる廊下には、たくさんの利用者コメントが貼りつけられています。
これも面白いですね、みなさんそれぞれ個性的です。ほとんどは「たのしかった」「ありがとう」といった感謝と思い出のコメントで占められていますが、中にはこんな力のこもった一枚も…
ちょっと怖い。
悲しいお別ればかりではありません。たのしいお絵かきも…
こうなるとわけ判りません。
思い思いの思いが寄せられたメッセージを読んでいたら、可笑しくて、可愛くて、思わずニヤニヤしてしまいましたけれども、なぜか目だけは、涙でにじんで見えなくなってしまいました。
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2019/08/13(火) 13:58:56 |
見聞・出歩き
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人類が滅びたあとは… 女房の荷物持ちとして暑い中を街にくりだしたら、解体を待つ荒れた駐車場を見つけました。
錆びた鉄、苔、湿った空気、なんとも退廃的な雰囲気です。嫌いじゃないですね。
顔を上げれば、深い緑のツタが四階建てのビルをすっぽり覆っています。
人類が滅びたあと、植物から繁栄して、やがてビルの形をした植物が、いろいろな生き物の住処になるだろうという、そんなイメージをさせる情景でした。
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2019/08/12(月) 19:16:19 |
見聞・出歩き
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川越まるひろ百貨店 全国各地、地元民に愛されるご当地デパートというのがあります。ここ埼玉県川越のまるひろ百貨店もそうですが、名物でもある昔ながらの屋上遊園地が今年の八月いっぱいで無くなっちゃうというのです。
昔あった金魚屋さんはすでになく、この日は天気も悪かったため、お客も少なめ、やってない乗り物も多々あって、寂しさはひとしおです。
モノレールは列車ではなくて二人乗りの単体。レールが屋上の縁ぎりぎりまで伸びているので意外に怖い。
100円玉の乗り物も懐かしいね。
娘が小さかったころ近くに住んでいたので、毎週のように通ってましたっけ。
わんぱくランドはゲームコーナーです。
デジタルゲームをはじめ、クレーンでお人形を取るやつとか、パチンコ台、懐かしい新幹線ゲームまであります。
ここが無くなってしまうなんて、今一つ実感がわきませんが、子どもの寄せ書きをみたら、ああ、本当なんだなと思いました。
こんな純粋なコメントが、元ペット屋さんだったスペースにびっしりと貼ってあります。
さらにメッセージカードは階段にまで伸び…
ひとつひとつ読んでいると泣いてしまいそうになるので、写真だけ撮ってスルーです。
地元に愛されたまるひろの屋上。高校生のころ焼きそば屋でアルバイトしていたうちの女房も今年還暦。アンパンマンの100円自動車に乗って喜んでいたうちの娘も30になりました。思い出の屋上よさようなら。夏休みは別れを惜しむご家族で賑わう事でしょう。そしてもう一つ、最上階のお好み食堂。
お寿司からビフテキまで何でもあります。友達は餡かけ焼きそば、僕はビールです。この食堂はなくなりません。希望を申すなら、リニューアルもしてほしくないですね。
テーマ:趣味と日記 - ジャンル:趣味・実用
2019/06/12(水) 10:55:26 |
見聞・出歩き
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