茶筒で松竹梅 実家を荒らしていますと、いろいろな品物が出てきます。
懐かしい昭和の景色が写った子供のころの写真、古い食器などなど。その中にこんなものを見つけました。

三本の茶筒、しかも絵柄が偶然に松竹梅。これらは若いころの父の仕事。つまりは蒔絵師。蒔絵といいますと高級な芸術品のようなイメージを持たれがちですが、その実、日用品の絵柄付けが主な仕事でした。同じ絵を何十、何百と描く技は見ていて面白く、子供のころ、かじりついて見てましたっけ。絵柄には型があって、注文に応じて描きます。梅ならば幹だけを太い筆でさささーっと何十も同じように描き、構図が決まったら次に枝、色を変えて花びら、苔、最後に細い道具でしべを描いて上がり。少しずつ絵になってゆくさまが実に面白かったのを覚えています。
そんな父も、印刷技術の進歩を横目に見、40代の若さで、さっさとやめてしまいました。なので写真の茶筒は、今となっては懐かしい品となりました。
本人の名誉のために付け加えますと、上の写真は不良品ゆえに実家に残っていたものなのです。版ずれが激しいです。蒔絵なのに版とは?ええ、父はチャレンジャーでして、蒔絵にエアーブラシを持ち込んでいたりしました。おかげで子供の私は怪獣を塗ってもらう恩恵も受けたというわけですが。
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- 2017/10/07(土) 22:05:57|
- 雑貨・珍品
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