TIMEX AUTOMATIC 2
古いタイメックス、自動巻きデイト“M32”の機械です。

目付も磨きも見られない、簡素な回転錘に開いた二つの穴は、止めネジを着脱するためのものでした。ちゃんと機能しながらも、愛嬌のあるデザインに見えるところが憎らしい。
そこからネジを取れば、回転錘が外れます。

回転錘の変心車をくわえるコの字のレバーが、錘の回転によってゆすられると、セイコーのマジックレバーみたいな送りバネが作動して動力ゼンマイを巻きあげる仕組みです。

上二枚の写真を交互に見ますと、その仕組みが分かります。
外周四か所に切れ込みがあります。これは何だ?

これは文字板です。文字板がアシではなく、アイアンクローのように地板に咬みついています。これならば衝撃によるアシ折れの心配はありません。ただしかし、文字板着脱のたびに、このヒレを開閉するとなると、いつかは折れるので、修理しながら長期使うというよりは、使い捨て思想に近い設計といえましょう。
文字板を外しました。

日車は置いてあるだけ、日車押さえはありません。しかも中心位置決めは、外周の四本突起のみというシンプルさ。
日車を取ります。

針回しとゼンマイ巻き上げのみの切り替え構造です。カレンダーの早送りはありません。
そして先ほどから地板に見える外周の板は、ケース胴内径にはまる補助リングを兼ねていて、ここに直に組み込むべき車はありません。よって外してみる。

これが時計本体です。これをコアモジュールと考えますと、先ほどの補助リングの外径を変えるだけで、大小丸角いろいろなデザインに展開できるので、合理的に安く作れそうです。
では、巻き上げ、針回し系統の部品を外してみましょう。

下の銅色のバネは、日車のステップ規制バネです。日車はこのバネと4本の突起に挟まれて、文字板で蓋をされているだけ、必要最低限の仕組みで成り立っています。つまみ損なうと消えてしまう小さいねじも要らないし、ばねに邪魔されて日車の位置が決まらなくてイライラすることもありません。実に見事な簡略設計に美しささえ感じてしまいます。
これより時計側の分解にかかりますが、長くなっちゃったんで次回に送りましょう。
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テーマ:趣味と日記 - ジャンル:趣味・実用
- 2019/01/17(木) 10:20:43|
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