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柊 萬控へ<ひいらぎ よろずひかえ>

料理、時計、怪獣、家庭菜園など趣味のあれこれを書き控えてまいります。

時計道楽 196

TIMEX AUTOMATIC 3

 タイメックスの自動巻き、cal.M32 をいじっています。

20-巻き上げ針回し系統を外しました

 上の写真は文字板側、普通ですと、この面が地板となっており、分解するには裏返して受け板を開けるという手順になりますが、本機はそういった常識さえ完全無視したオリジナル設計。この板こそが、天受けというか全部受けと申しましょうか、全ての押さえになっています。ネジを外して、そっと持ち上げれば、テンプがビヨヨ~ンと下がるので、向こうに裏返す。

21-天受けを開けました

 と、こんな感じなんすよ。

 で、残された面々は裸に晒される。

22-時計輪列

 これが全てです。なのでさっきの板は、中受け、天受け、おまけに香箱の蓋の役まで兼務していたのです。
 上の方に見える黄色のアームはフックアンカーあるいはピンレバーと呼ばれる脱進部品、このへんも前に控えたまんじゅう型懐中時計(時計道楽192)と同じです。これも庶民のためのダラーウオッチの仲間でしょうかね?いずれにせよ、部品数を徹底的に減らす工夫と、途中で裏返すこと無く、針まで一気に組み立てられる一方通行設計に驚きです。

 では、場所を移しまして、外装の掃除です。

 一見、それほど汚れてなさそうなケース、バンドですが、古いメッシュは油断がなりません。超音波洗浄機に200mlのお湯、そこへシチズンから発売されているバンド洗浄剤を溶かしまして、部品を浸ける。

23-一見きれいな外装だけど

 上の写真では、それほど汚れてないように見えますね?
 しかしご覧あれ、スイッチオン!

24-たちまち上る黒煙

 たちまち上る黒煙のような汚れ、もくもく、もくもくと、メッシュの中から吹きあがります。5分もかけたら、透明だった新品の溶液もご覧の通り。

25-洗浄液は真っ黒です

 ここまで派手にやってくれれば、洗った甲斐があるというものです。
 このあと、ぬるま湯ですすぎ洗いをして乾燥させます。

26-きれいになったケース

 プラ風防もコンパウンドで磨きました。

 機械の方は部品を洗って組立て。

27-組み立てました

 貴石を一つも使っていないフルメタルムーブです。潔さが痛快です。

 裏返して文字板側、日車は置くだけ。

28-日板は置くだけ

 文字板をのせて、爪を曲げてセット。

29-チョコレート色の文字板

 チョコレート色の生地仕上げがビターな味わいです。

 インデックスは、おそらく球に絞る型と一緒に突き出して、立ち上がりまで塗料が乗っているところを見ますと、塗装のあとにVカット、露出した金属部にメッキをしたのではないかと思います。幅広いV字でクロスに挽いたカットも効果的、何とも高そうに輝きます。

30-効果的なカットが光る

 手間は低く、効果は高く、見せる技に拍手です。

 針もそうです。

31-針にハカマがありません

 ハカマがありません。厚手の材料が面型で成型されているだけです。秒針に至っては穴が開いているだけ。これじゃあグラグラして安定しないだろうと、心配するも、受ける秒カナの方がうまい具合の円錐形になっていて、ちょうどいいところでグサリと止まる寸法になっている。どこまでも低コストに徹しています。

 針を時計につけてケースに収めました。

32-ケースに収めました

 洗ったメッシュバンドのゆがみを直し、新しいバネ棒で取り付けましたら、ピシっと固定できました。

33-タイメックス自動巻き

 本日の控え TIMEX AUTOMATIC DATE cal.M32 1970年代中後期(推定) の品でした。今回は“安物”という言葉では簡単に片づけられない、常識をも覆す設計の工夫を見せつけられました。生産方法の改善で、既存の物を安く作ることができたというのではなく、設計そのものから、どうすれば部品を少なくできるか?とか、簡単に組み立てられるか?といった根本からの取り組みを見ることができて、時計を安く作ることの苦労が感じ取れました。

 この時計、結構気に入って時々使っています。ところがこれ、バンドが難点でして、純正中留めは嬉しいのですが…

34-純正中留め

 長手の先を手首側にくぐらせるフリーアジャストタイプで、やりにくいったらありゃしない。

35-くぐらせて閉じるフリーアジャスト

 とても片手じゃできません。最初に大きめの輪っかを作って手首をくぐらせ、そこから絞ってゆく方法にたどり着くまで、少々時間がかかりました。

 1970年代の、どことなくスペーシーな味わいは、アポロ計画月面着陸の余韻か、米ソ冷戦下の宇宙開発競争といった社会背景によるものか?どっちにしてもプチカッコイイ。

36-スペーシーな味わい

 時計をより安く、大量生産するという行いは、時計の価値を下げるという見方もありますが、時計の買えない人を一人でも減らす、即ち時計を多くの人に使ってもらうという、平和的願いもあるのではないかと、しみじみ思うのであります。
















 




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テーマ:趣味と日記 - ジャンル:趣味・実用

  1. 2019/01/23(水) 10:39:46|
  2. 時計
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

いつも楽しく拝読してます。
面白い構造ですね!
そしてメッシュバンドの汚れっぷりは、この廃液からよもやヘドラが誕生するのでは?と思うくらいです(笑)
  1. 2019/01/23(水) 12:41:25 |
  2. URL |
  3. キムラ #-
  4. [ 編集 ]

キムラ様

お世話になります。
古いメッシュは本当に洗い甲斐があります。
真っ黒い毒ガスがもくもくと沸き上がり、校庭の子どもたちはバタバタ倒れ、工事現場の作業員は白骨になります。(笑)
それはさておき、恐ろしく徹底した低価格設計で、当時の国産メーカーも対策に苦労したそうです。
セイコーTOMONYやQ&Qなんかがそうではないか?と思っています。
  1. 2019/01/23(水) 21:19:56 |
  2. URL |
  3. 柊horii #-
  4. [ 編集 ]

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怪獣、時計に小料理飲酒、好きなことを好きなだけ、やりたい放題の道楽おやじ。

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