RICOH
RIQUARTZ 2
リコーの初期型クオーツcal.570を見学しています。

初期型クオーツは大きくて見やすいです。昭和のエレクトリック感が満点でございます。
真ん中の輪列受けを開けてみました。

ステップモーターも大きいです。これなら組みやすい。
水晶振動子の封入菅もデカイ。

今ではもうだいぶ小さくなっちゃいましたけど、初めのころは、これでも精密加工の限界だったのでしょう。こういうところからも時代を感じます。
半月型の白いプラスチックは、複合回路の基盤。

この回路の一枚化が、本機の進化のポイントだとのことです。

回路を外したら、巻真のスイッチ構造が見えてきました。
小さなルビーが接点バネを押したり離したりして、通電、遮断をスイッチします。
この辺で組みなおしましてムーブメントの鑑賞です。

水晶菅とコイルが、まるで紅白のように対となり、その間を輪列が横一列につなぐ機械と電子の競演が、60年代に描いた未来図のようで楽しい。
今さらですが、各部名称をひとつ記しておきましょう。

このエレクトリカルな部品配置が初期型クオーツの魅力です。
文字板と針をつけました。

針と時字の曇りを取りましたら、中々リッチな佇まい。虎目にはあちこちひびが入ってますが、古いものなのでしょうがない。
側付け終了です。

撮影用に手持ちのバンド、中三列のカマボコをつけました。

当時のオリジナルでは、もっとシャープなゴルダーバンドがついていたようですが、これはこれで合うと思います。
クリスタル風防も、さりげなく三面カットを施しています。

本日の控え
リコー時計 リクォーツ cal.570 1973年 当時価格78,000円 でした。
宣伝のキャッチフレーズは「テレビの時報にピタリと一致!」
今では当たり前のことですが、当時、ステップ秒針は珍しくて、その動きに、正確な時計、新しい技術であるクオーツ、という性格が宿っていたわけです。やがてクオーツが普及すると「時は流れるもの」という概念の元、クオーツのスイープ運針も開発されますが、世間の評価はステップ式に軍配を上げる。そんな流れと電池を食わないという背景で現行クオーツの多くはステップ運針が当たり前となっています。皮肉なことに、メカ時計が巻き返してきた今日、ステップ秒針を見て「ああ、クオーツね」とやや蔑んでみられるのは、過去を知れば悲しいこと。1970年代はステップ秒針のほうが先進的でカッコよかったんです。
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- 2019/02/28(木) 10:55:21|
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