自作時計の愉悦 Kingfisher 時計が好きな人、好き方それぞれ。
高級時計を愛でる?
ファッションをたのしむ?
私なぞバラバラにしたがる罰当たり。
今回は、以前にもご紹介した、時計を自作して愉しむ若き研究者の作品です。
題して
『Kingfisher〈カワセミ〉』
文字板からこぼれんばかりに満ちた水、草木の緑に囲まれて可愛らしい釣りの名人が、ちょこんと獲物を待つ。そんな森の静寂を描いた時の情景。時刻はどう見るの?文字板中央の睡蓮の花が分針で、一枚だけ赤く染まった花びらが現在を指します。時針はその下に位置する円盤で、これも睡蓮の花が現在を指します。したがって上の写真では5時01分ということになります。そして面白いのは、6時位置の葉と葉の間からのぞく小魚。小秒針を置き換えたものです。
1分に一回、ちょろりと出てくる可愛い小魚。

チコチコと小刻みに泳ぎながら、ふたたび葉の陰に隠れてゆきます。

カワセミに見つからないように、あわてて消えてゆくその動きが実に愛らしい。
獲物を狙うカワセミも、眼光鋭く…というよりは、どこかおとぼけ顔。

この複雑な彩りで点描された小鳥も、大きさにして僅か1センチ足らず。それでいてこの密度、拡大するほどに味が出る。カワセミの穏やかな表情を覗うに、作者のやさしい性格が絵に表れています。
この時計には、静寂という“音”が表現されています。視覚から入り込んだ景色は、頭の中で情景再生され、静かな森の中にいるような錯覚が、静寂というイメージを呼び起こします。そして水というモチーフによる青さ。我ら陸棲哺乳類にとって青は癒しの色、はるか昔、魚類だったころの原始記憶がよみがえります。
アクリル塗料で丁寧に描かれた水景色は、時を忘れさせる本末転倒なおかしさを持つ時計でした。前にも言っていた彼の「ずっと見ていられる時計が作りたい」という想いにまんまと引っかかって、この時計をずっと見ていたら、急須にお湯を注いでいたのを忘れて、お茶がすっかり苦くなってしまいました。
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テーマ:趣味と日記 - ジャンル:趣味・実用
- 2019/03/27(水) 11:11:30|
- 時計
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