THE GIANT CLAW 公開が迫るアメリカ製ゴジラ映画の新作『Godzilla: King of the Monsters』、とても楽しみです。わくわく胸を躍らせながら公式サイトで予告編を見ると、ラドンの表現がいいですね。まさしく空の大怪獣、今度の監督さん、ラドンの本質をお分かりのようで嬉しい限りです。そんな中、急に観たくなったのは、ラドン第一作目と同じころ(1957年)に作られたアメリカ映画『THE GIANT CLAW』です。
平たく申せばアメリカ版、空の大怪獣。
事件の展開、登場人物などなど、正統派の怪獣映画となっております。
だいたい主人公が熱い男で、恋人みたいな姉ちゃんがセットになっている。そして中盤に登場する、事件解決にヒントをくれる科学者。
本邦で喩えますと、スマートでクールな平田明彦さんというよりも、『大怪獣ガメラ』の船越英二さんみたいな重厚知的なイメージです。
そして軍人も必須。
ここは田崎潤さんか、藤田進さんといった武闘派のイメージで役者はそろいました。
事件の展開も基本に忠実。なぞの連続航空機事故が起こり、同時に未確認飛行体が目撃される。そして少しずつその正体に迫ってゆき、ついにフィルムに収められたその飛行体を確認するのだが…
大空に舞う鳥のような影。
やがて大きくなる巨鳥のシルエット。
ヒロインが恐怖に顔をゆがめる。
彼女が戦慄したものは何か!
出た!ギャグか!アホな鳥だろ!顔がアホだ。なんだその頭の毛は、大五郎か?オバQかよ。テキトーに植毛したな、バカにしやがって。女優さんの熱演に謝れ!
…と言いたくなるようなデザインと作り物です。役者と構成展開がちゃんとしているのに、まったく残念です。
正体が明かされると、あとはこのバカ鳥の大暴れ。中でも戦闘機との空中戦は見ものです。
スピードと迫力にあふれる戦闘機と、たよりないバカ鳥のからみがヤバイ。
掃除機のホースみたいな首にアホな顔、なんだその頭の毛は、全然風を切ってないじゃないか。むしろ前に垂れ下がっているとは何事だ。おまけに鳴き声は下品極まりない、グエアグエア…と、ああ、見れば見るほど腹が立つ。
こっちを見るな!
ん?でもよく見ると、目玉や鼻孔がヒクヒク動いているぞ。という事は、アホな顔の中には中々凝ったギミックが内臓されているんだな、でもそれが全然生かされていないのが痛い。アホな顔が全部食っちゃってる。
こうしてみますと、つくづく、初期の東宝怪獣の高い品格が再認識されますね。ラドンやゴジラ、バランなど、声も個性的で美しいですから。
クライマックス、ニューヨークの摩天楼、エンパイヤビルで見栄を切るのは『キングコング』への憧憬か。
日本の怪獣なら東京タワー、アメリカ製ならエンパイヤー、これ基本です。そんでまたスケール感を無視した、ちゃちな合成だなぁ、と思っていたら…
なんと、突っついて壊した!ミニチュアだったのです。ここは驚きました。いい意味で。
最後は新兵器を打たれて、あっけなくジ・エンド。
すぐにイチャつくアメリカ人。お決まりのパターンです。
まあ、悪口をいっぱい言ってしまいましたが、残念なのは主役たるべき怪鳥のデザインだけです。これがカッコよかったら完成度は増しましだったと思いますが、もしかしますと、これは印象に残すための作戦だったと言えなくもないです。普通の出来だったら、ありがちな地味な作品として埋もれてしまっていたかもしれません。そう、ファミレスのお料理は、どなたがどれを召し上がっても美味しくて優等生でありますが、クセになりませんよね。そういう意味では、本作はクセになるといっていいでしょう。ストーリーがよくあるパターンなだけに、怪獣デザインに奇抜を狙ったのかも知れません。バカっぽい鳥に真剣に対策を講じる人類との対比こそ、この作品の見所かもしれません。
心の奥に、造形化したら受けるだろうな?みたいな嫌な意欲が芽生えてくるところが、また嫌ですねえ。
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テーマ:趣味と日記 - ジャンル:趣味・実用
2019/05/27(月) 11:21:48 |
視聴鑑賞
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