SIR JOHN BENNET Carriage click 2
置時計の修繕です。
横60mm×高さ80mmほどの機械です。

文字板はホーローに黒の焼きつけローマ数字。美しい配列です。やはりヨーロッパの人が描くローマ数字は美しいです。
ブランド表示は“SIR JOHN BENNET LTD.”

ジョン・ベネットは19世紀のイギリス人で彼の名を冠したメーカーですが、下の方に産国表示があります。

フランス製みたいです。ということはイギリスブランドのフランス製造というふうに解釈できます。ネットでみれば“French carriage clock”というカテゴリーがあるみたいで、フランスではこの手の製造が盛んだったようです。
機械を横から見てみます。

上の写真は文字板を仰向けにして、三時から見たところです。
目を12時側に向けますと、頂上にテンプがついています。

ここはテンプ地板のようになっていて、テンプ、アンクル、ガンギ車までがセッチングされています。ここで調速されたガンギが下に伸びてまして、冠歯(フェースギア)を通じて四番の速度を制御する仕組みです。
それでは解体前に、動力ゼンマイをほどきましょう。
こちらはねじ回しです。

太い細いの両刀ねじ回しです。太いほうは動力巻き上げ、細いほうは針回しに使います。
太いほうを動力芯に刺しまして、コハゼを開放するタイミングでつまむ指を細い軸にずらす。
すると…

スルスル…とゼンマイがほどけます。タイミングを間違うと、ブウウン!と勢いよく回る羽根で指を怪我しかねませんので、ねじ回しにタオルを巻いて作業しています。クロックのゼンマイはそれほど強力で恐ろしいです。
次は文字板の取り外し。
文字板はクサビで止められています。

クサビを抜いて、文字板を外す。
文字板下です。

背の高いほうが時針がつく筒車です。
続いて脱進機の取り外し。
上で述べましたように、テンプからガンギまでがブロック化されていますから、取り外しが楽です。
続きまして、ここは動力ゼンマイの巻き上げ機構です。

もうゼンマイはほどけているので安全です。ネジを外して解体してみたら、ここに刻印がありました。

…と、思ったら産国表示だけでした。
巻き上げ部品がきれいに外れましたので、受け板を開けましょう。
受けも文字板同様にクサビ止めです。

四隅を開放して、そっと開けてみる。

大きな香箱にシンプルな時計輪列がつながっています。
目線を下げてみよう。

時計厚みのほとんどを動力ゼンマイの巾で占められています。おかげというか何というか、輪列の方には空間がゆったりととられています。懐中時計、腕時計といった小型化を目的とした時計に隙間を見つけると、安っぽい感じを受けますが、クロックになりますと、むしろ空間がゆとりに感じられます。
写真も多く、長くなりました。次回につなぎましょう。
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- 2019/11/13(水) 11:08:55|
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