TAKANO
シャトー 1
国産時計の愉しみ、今回はジャンクではありません。壊れた美品です。

りゅうずを回してもゼンマイが巻き上がりません。ジャラジャラと空回りしますから、おそらくゼンマイの逆転ストッパー(コハゼといいます)あたりが故障しているものと思われますが、その辺は後ほど。
品物はタカノ・シャトーといいます。19石の手巻きです。

とてもスリムで上品なデザインです。極細のディテール、モノトーンでまとめられた落ち着いた雰囲気、一目で気に入ってしまいました。
裏も傷の少ない、上々のコンディションです。

“タカノ プレシジョン”の流麗な書体がエレガントです。昭和30年代に生まれ、わずか5年足らずで消滅したブランドです。
特筆すべきは、革バンドがオリジナルのままなのです。

黒いトカゲです。コリコリと斑の立った、厚みある感じはベンガルトカゲと思われます。
裏地にはTAKANOの箔押しがきれいに残る。

銀色に輝くTAKANOのロゴ。嬉しいですね、革バンドは消耗品ですから現存が少ない。それゆえこういう個体に出会うと思わず微笑んでしまいます。
もちろん美錠もオリジナルです。

TのバックルでTバック、マークの形もTバック。
今回は、解剖の前に鑑賞をしております。
蓋を開けました。

機種はタカノ521-19石、541の普及品です。
ベゼルを開けて、文字板の生鑑賞。

極細の時字と針、切分は見えるか見えないかの控えめさ、シンプルドレスウオッチ極まれりといった装いです。
針を取りました。

軽く球面に絞られた生地は、目視で判る程度の粗めの渦挽きに銀メッキ。だから放射光線がシャープで涼しい。レコードが反射する光は直線的が持ち味だけど、挽きの粗目がほどよく和らげる。同じ放射光でも、放射目付の場合は輪郭がぼけるからソフトタッチで温かいんです。時字は繊細なVカット、キラリと光るシャープな直線が知性を醸します。配置も4所〈よところ〉を少し長くすることによって安定が生まれ、落ち着いた大人の雰囲気に仕上がっています。
文字板を外しました。

プレート部品のはまり方に、精緻な設計を感じます。
次回、時計側の方を見ながら、不具合を探ってまいります。
スポンサーサイト
テーマ:趣味と日記 - ジャンル:趣味・実用
- 2020/07/22(水) 11:06:51|
- 時計
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0