フランケンシュタインの囁き
シュミットの逆襲 2
ところどころ部品の欠けたシュミットの機械だ。

頭蓋から脳みそを取り出すように、側から中の機械を取り出す。

48ミリほどの大型機械はズシリと重いが、完全に死んでいる。
目につくネジというネジを外し、シャーレの中にコトリ、コトリと落としてゆく。部品をすべて外したら、裏返して巻真まわりも解体。

古いダボ押し構造は、部品が丈夫で安心だ。
中央の筒車まで抜いたら、素っ裸の地板が露わになる。

おっと、文字板のアシ止めネジが残っておった、こいつも取らねば。
解体は終わった。さて、どこから手をつけようか?
まずは受けだ、5枚の受けが荒れている。一度地板に組みつけて状況を見る。石止めリングがあるものないもの、あってもネジ代わりに接着されていたりとまちまちでひどい。

こういうものを全て取り除き、生地を整えたいのだが、難儀したのは接着剤だ。局部的にバーナーを当て、炙って剥がす荒療治。さらに困難なのは頭が取れたネジの除去だった。ドリルを二本折った。

上面に障害物がなくなったら、240番の耐水ペーパーを直径20mm円形に切り出し、回転ツールの先端に付けたら、上面を撫でて均す。

5mmピッチでスライドさせたら、うまくできた。仕上げにクリスタルコートで丹念に拭き上げて生地終了。再び受けを取り外しておこう。

地板も掃除をしたら中々きれいなものだ。100年前の技術者に敬意を表そう。
動力ゼンマイの入った香箱。時計の動きはここから始まる。

先の回転ツールで上面を均し、地板に置いてみる。

なかなか美しいものだ。
こうなれば、各車の錆も落とそう。ピンバイスに咬ませて、指で回しながら細かいペーパーを当てる。

黒ずみが落ちて、銅の輝きが蘇るも、まあ時間の問題であろう。気休めにペン型の錆止め剤を塗っておく。
二番と筒車を咬み合わせて、香箱を組み込む。

裏返して巻真をロックする。

表に戻そう。
これはトキの嘴。

動力ゼンマイのストッパーにテンションをかけるバネだ。
所定の位置に組み付ける。

巻き上げ部分まではうまく行ったようだ。
今回は、この辺にしておこう。
スポンサーサイト
テーマ:趣味と日記 - ジャンル:趣味・実用
- 2021/02/03(水) 10:36:22|
- 時計
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0