フックアンクル脱進機 えー、さて

前回<
時計道楽34>のシリンダー脱進機にかかる説明文の中で「フックアンクル脱進」という言葉が出てまいりました。今回は、そのフックアンクルを控えておきたいと思います。
それでは始まり。
はい、ジャンク時計です。

文字板に「KELTON」と書かれてますね。

裏蓋は無刻印です。
しかし文字板に比べてずいぶんデッカイ裏蓋だなあ。
裏蓋を外してみた。

おおー!こういうことかぁ。
裏蓋中子に目一杯ムーブが詰まってて、ケースがステンレスの板絞りなんですな。これは安っぽい。
では中子からムーブを取り出しましょう。

そして文字板の鑑賞。

「KELTON」というブランドですね。アメリカのTIMEX社のグループのようです。
文字板6時下には「MADE IN U.K. AND U.S.A.」とあります。米英合作?会社はアメリカ、工場はイギリス?ま、いろんなパターンが考えられますが、この個体の入手元はイギリスなので、イギリスで売っていたという可能性は高いです。
裏側をご覧ください。ムーブに留めるアシがありません。その代わりに外周にツメが付いています。ここでパチパチとムーブに引っかかっておりました。溶接不要のお安い構造ですね。
それでは文字板を外しまして、ムーブを拝見しましょう。

ほほぉ、これまでのスイスものとはまた違う雰囲気でいいですね。ネジを焼いて黒くしてあるところも楽しいです。
テンプを外して一番受けを開けてみると…

動力ゼンマイがむき出しでございます。なるほど、一番受けが蓋を兼ねってところですね。そして四隅に白いプラパーツが設置されていて、ネジ受けになっております。さすがアメリカ。
そして一番受けには数字の刻印が打たれてます。

「7 47」?なんでしょうね?「47」は深くハッキリ掘られていて「7」は薄くて後打ちっぽいです。従って「7」のところは他の数字版も有るという風に推察できます。1947年7月製造とかですね。
いよいよ本番、二番受けを開きましょう。

手前の方に変わった形の脱進期がありますね。
裏側から見るとこうです。

見えますね、ガンギにかかる二本のピン。これがチャキチャキと脱進を繰り返すのです。
外してみましょう。

これがフックアンクルでございます。貴石を使っておりません。
そして何とアンクル以外でも石を使っておりません。機械式ウォッチには普通「15石」「23石」などと石数表記が成されてますね。しかし本品は「ゼロ石」です。フルメタルです。潔いです。
腕時計というものを広く普及させたい。買い求め易くして多くの人々に使ってもらいたい、という志があちこちに表われております。
ではベルトをつけて味わいましょう。


ケース外径φ30ミリほどのボーイズサイズです。メンズサイズのムーブを薄板ケースを絞って囲み、小さく見せる努力が実ってます。
できればフルメタルの音も聞いてみたかったですが、今回のは動きません。
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- 2014/03/25(火) 20:03:50|
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