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柊 萬控へ<ひいらぎ よろずひかえ>

料理、時計、怪獣、家庭菜園など趣味のあれこれを書き控えてまいります。

時計道楽 43

セイコー NATION 

 お得意先の木村さんという方は、実におしゃれで物知りな通人なんです。そんな木村さんが見せてくださった時計です。
届けられたNATION
 文字板に打たれた銘は“NATION”。はじめは角型のアメリカものかと思いましたが、どうもセイコーの戦前もののひとつだそうです。
 というわけで、今回もトンボ出版刊『国産腕時計⑫ 戦前・戦後編』を参考にさせていただいております。同書によりますと、このネーションは『モリス』と並んで、セイコーの戦前の主力機種のひとつだったのだそうです。かの有名な『ローレル』は、それ以前に存在してましたが、懐中時計が母体となっており、企画当初より腕時計として開発されたのが、このネーションとモリス型だったのだそうです。国産腕時計の初期型ということですね。
 
 それでは、木村さんからは既にお許しをいただいておりますので、徐々にバラしてまいりましょう。

 バンド外しました。
ベルトを外したところ
 長角でありながら、左右を僅かに膨らませた、トノー(樽型)との中間という感じの見切り形状。シンプルなゴシック数字を配したアールデコ風の文字板。青焼き針は分針の先端が折れて短くなっているものの、鉄製の本焼き針。

 裏返してみましょう。
裏刻印
 扇枠にSKSは『精〈S〉工〈K〉舎〈S〉』の印。知識があったらここでセイコー製って判ったわけですね。あいにく私に知識は無かった。
 裏蓋にコジ開けを入れてゆっくりとケースを持ち上げまして、開けました。
ケースを開けたところ
 これはニッケルケースでしょうか。
 プラ風防を外して簡単にお掃除しておきましょう。
ケースと風防
 風防の固定はプラの弾性で嵌っているだけです。

 文字板を鑑賞しましょう。
文字板単体の鑑賞
 元々は白だったのかどうかは判じられませんが、現在の状態のベージュというか極ウス金の生地に黒インクの印刷という組み合わせが、1930年代の新聞やポスターなんかを想起させ、アンティークの味わいになっております。それと面白いと思ったのが、外周の分刻表示です。普通は梯子状に表現するのですが、このモデルは1分目が短く描かれてますね、1分と五分の強弱をよりハッキリ見せる手法のひとつですが、これは外サークルと内サークルの距離があってこその効果で、文字板にアクティブ感が宿ります。

 文字板を外しますとこうなります。
文字板側のムーブ
 シンプルで結構ですね、どこも異状は見当たりません。

 裏返しますと…
古びて固まったムーブ
 一見したところ、破損などは見当たりませんが、全体が錆びというか油が固まって動かなくなった状態のようです。リュウズも巻き上げられません。
 なので一旦バラバラにしまして、部品を掃除してみます。
部品をばらして掃除
 楊枝に赤粉をつけてシコシコと。
組み込み前の地板
 ピカピカとまではいきませんけど、これが土台です。地板といいます。

 では組み立ててみましょう。
組みなおしたムーブ
 動きました!
 いいですねえ、国産時計戦前の味。先の本によりますと、参考モデルがスイスAS〈アドルフ シールド〉社のキャリバーAS574ではないかと記されています。ではここで参考にAS574を見てみましょう。
AS574文字板側 AS574.jpg
 なるほど。こうやって80年前の技術者たちは手本を分析しながら、自分たちの技術を磨いていったのですね。
 (参考写真はこちらから転載させていただいております。→http://uhrforum.de/

 それでは元の姿に組み立てて、記念撮影をいたしましょう。
NATION.jpg
ベルトをつけた

 今回は型押しのワニ革ベルトをつけてみました。

セイコーネーション

 本日の控え 精工舎 NATION 9型7石 推定1930年代 でした。
 日本腕時計の最古参、わずかに進みがちながら元気に時をきざんでおります。
 


 











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テーマ:♪♪生活を楽しむ♪♪ - ジャンル:趣味・実用

  1. 2014/09/02(火) 14:24:32|
  2. 時計
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

感激いたしました。

いつも楽しく拝読しております。
この時計の中はかような次第であったのですね。初めて中を見ることが出来て感激しております。有難う御座います。
  1. 2014/09/03(水) 08:54:11 |
  2. URL |
  3. キムラ #-
  4. [ 編集 ]

キムラ様

いつもお世話になります。
貴重な時計を見せていただき有難うございます。
この時計を設計した人たちはおそらくもうこの世におられないと思いますが、こうして時計は生きております。
なんて、こんな事を考えながら古時計をいじっております。
  1. 2014/09/05(金) 08:44:15 |
  2. URL |
  3. 柊horii #6MY/GVW.
  4. [ 編集 ]

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怪獣、時計に小料理飲酒、好きなことを好きなだけ、やりたい放題の道楽おやじ。

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